ワークフローシステムの選定方法について

時間の制約がなければ、世の中のワークフロー製品を全て使ってみて、必要な機能がそろっているか、(自社にとって)どのようなメリットをもたらすか、価格は妥当か、セキュリティは大丈夫かなどをもとに選定すればいいのですが、実際にはそのような余裕はまずなく、効率的に製品を選定することが求められると思います。
そこで、このコラムでは効率的に自社に適合した製品を選定する方法をポイントを絞ってご紹介しようと思います。

  1. 導入実績を確認する
  2. たくさんの機能よりも「業務が回るか、効率化できるか」
  3. システムの制限値は重要

1.導入実績を確認する

 

これはワークフロー製品に限らずですが、まず製品として世の中に販売されているもので、「顧客がついているサービス」であれば、まったく使えなかったというような致命的な失敗はおそらくないと思います。

「顧客がついているサービス」はそのサービスの導入事例を見ることで確認することができますが、事例の中になるべく自社に近い業態の会社の導入事例があるとより良いです。同じような規模や業態の企業であれば業務上の悩みも似てきます。

事例を読んでそれらの悩みが解決されているのであれば自社でもうまくいく可能性は高いのです。もしこの記事を読んでいただいている方が本当に時間が無く、一刻も早く製品選定をしないといけないのであれば、同じような業態の企業の導入事例(成功事例)を読んで決めてしまうというのも手だと思います。

自社で問題となっている課題が事例の中で解決しているのであれば、高い確率で自社にも適合します。

 

2.たくさんの機能よりも「業務が回るか、効率化できるか」

 

よく、数十の製品を並べて製品と機能で漠然と機能比較表を作っている方がいますが、できればやめていただきたいです。弊社にも機能比較表に○×を入れてほしいとご依頼がよくあります。送られてきたどこかの製品の機能一覧を自社の機能に読み替えて補足を加えながら〇×を付けるのはかなり苦労する上、質問がざっくりしすぎているので回答が定まらなくて、想定ケースごとに場合分けして回答を作ったりすることになります。また、〇にするか△にするか迷うような質問では、真面目でしっかりしたメーカーであれば△にしますし、ガツガツ営業系のメーカーはとりあえず〇にするでしょう。

そして多くの場合、〇が多い製品ほど高価になりますし、使うのも導入するのも運用するのも難しくなります。たくさん〇がついている製品は、機能数という面では他の製品に比べて優秀かもしれませんが、自社の業務で必要不可欠な機能がなければその優秀さは意味がないのです。

機能を比較するのであれば、自社で想定している業務で利用する機能の内で必要不可欠なものだけを書出し、各社に対応しているか確認してください。

例えば以下のような機能を確認し、必須な機能がなければ業務が回らないはずなので簡単に振り落とせます。

<機能の要件の例>

・入力内容の必須チェックができること
・金額計算などが自動でできること
・申請者が承認ルートの設定をできること
・途中の承認者が承認ルートの変更ができること
・添付ファイルができること。
・途中の承認者も添付ファイルができること
・申請と申請の関連付けができること
・組織変更時に変更後組織を事前準備できること

 

機能が沢山あっても自社の業務課題を解決してくれない物はいらないのです。

そもそもワークフローシステムはなぜ必要になったのでしょうか?おそらく答えは「会社の何かの業務で支障が出ていたり、意思決定や業務スピードが遅かったりするから」ということになると思います。製品選定においては製品の優劣だけでなく、何の業務のどの問題を解決するために導入するのかを意識しておいていただきたいです。

3.システムの制限値は重要

 

例えば、1000人の会社を毎日全員が提出するような報告書業務に導入を考えているとします。この場合、年間稼働日が240日とすると、1000×240=24万件の報告書が出てくることになります。導入検討しているワークフローシステムがその件数に堪えられるのか、何年分保存することができるのか等を事前に確認しておかないと1年を待たずに使えなくなるという事態を招きかねません。このような定量的な制限は確認しやすいのでメーカーに問い合わせてみてください。

<ワークフローシステムで確認しておいた方がよいシステム制限の例>

・XX人で使う場合に年間何件まで申請できるか。
・申請データは何件までためることができるのか。
・ユーザー数は何人まで利用できるのか。
・添付ファイルのファイルサイズの制限
・承認フローの段階の制限数(何人まで回すことができるか)
・グループ会社で共用利用することが可能か
・設定できる組織の階層制限  など

 

ここまで書いてきた内容で絞り込んでもまだ複数が横並びになるようなら、実際に試用してみたり、試験導入して使い勝手を確かめて見ると良いと思います。オンプレミスの製品では初期費用がそれなりにかかるので難しいですが、クラウド製品はほとんどの場合で無料試用や小規模導入が出来ると思います。試用期間中にわからないことがあった場合には、できるだけサポート連絡先に問い合わせをしてみてください。レスポンスの早さや説明の丁寧さも今後お付き合いしていく上で大事な要素だと思います。